「めちゃくちゃコネじゃん。相手はプロ中のプロだぞ。そんなのありかよ? 俺、抗議して来る」

イスから乱暴に立ち上がった新の腕をつかみ、制止する千里先輩。

「待ちなよ、新」

「だけど!」

「座れよ新。俺たちはお前らが当日混乱しないように先に知らせておこうと思っただけだ。オリジナル曲には自作曲ってルールはないし、俺たちだって自分で書いてないんだ。別にルール違反じゃない」

そうだ、一回戦目の曲はわたし作詞の『スターライト』。

オリジナルラブソング対決は歌詞も評価対象だからわたしと太田原先生が戦うことになるんだ。

素人のわたしがプロの太田原先生に勝てるの?

そんな不安を吹き飛ばしてくれたのは奏人の言葉だった。

「相手がプロだろうがなんだろうが関係ねぇよ。咲茉が書いてくれた歌詞と最高のメンバーでステージに立つんだ。負ける要素なんてひとつもないだろ」

奏人は自信たっぷりに笑う。

暗闇の中で光るわたしの一等星。

「そうだな。俺のピアノも加わったし」

律の言葉に千里先輩も目を細めて笑った。

「だよな! 俺もそう思う!」

立ち上がったままだった新はドラムスティックを握った手を天井に向かって突き上げる。