音楽室には先に奏人と新がいて、わたしと律に続き千里先輩がやってきた。
机を五台くっつけて、それぞれ指定の席に着く。
「おい、千里。急に全員集めるなんて何かあったのかよ」
今すぐにでも練習したいのか、ドラムスティックを握ったまま話を聞く新。
「実はグランツと同じ中学に通う人たちから驚くような話を耳にしたんだ」
「驚くような話って?」
「グランツの奴ら一回戦のオリジナルラブソングを太田原先生に書いてもらったらしい」
奏人は先に知っていたのか、千里先輩より先に話の内容を口にした。
「太田原先生ってあの? いや、同姓同名の別人だよな?」
新が驚いているのは太田原先生という有名音楽プロデューサーの名前が出てきたからだ。
太田原先生は音楽に疎いわたしでさえ名前を聞いたことがある。
アイドルから演歌歌手まで幅広いアーティストに楽曲提供を行う音楽界の重鎮だ。
「あの太田原先生であってる。染谷の母さんの知り合いに芸能関係の人がいて繋いでくれたらしい」
同姓同名じゃなくて本物ってことは、グランツのオリジナル曲をあの太田原先生が書くの⋯⋯?



