翡翠の一輪花

廊下を全速力で駆ける。


ここか…


ガラッ


「翡翠!!」
















は!?


「お前っ!!!!」


衝動のままに紺を投げ飛ばす。


ダァン!!


『い、て…って、なんだ葵か…』


『葵?どうしたの?会合は?』


「お前、今、翡翠になにしようとしてた!?」


『なにって…キ、』


『まつ毛が目に入っちゃったからとってもらってただけだよ』


「はぁ!?」


どう考えても今の角度は…


『あーあ、バレちゃったからにはしょうがないか〜俺ね、翡翠に告白してキスしようとした』


「あ!?」


『話は最後まで聞こうね。たしかに、告白はしたけどキスはしてないよ…』


「…どういうことだ?」


『それは翡翠に聞いてよ…じゃあ、俺はこれで』


は?


どういうことだ?


いったいアイツはなにがしたかったんだ?


『葵…』


「翡翠、いったいなにがあった」


『…』


「正直に答えろ。…答えないと、その口ふさぐぞ?」


『…寝てたらいきなり紺が入ってきて、いろいろあって告白されたの。それで、キスされそうになって…』


「…」


『…拒否、したの』


「ほんとう、か…?」


『うん…好きでもない人とキスなんかできないよ』


ドクッ


『でも、紺があまりにもツラそうな顔してたから…』


「…」


『なんだかこっちまで悲しくなってきちゃって、動けなくて…』


「そこで、俺が…」


『そう』


話のいきさつはなんとなくわかった。


だが…


「翡翠は、紺が好きじゃないのか?」


『人としてはもちろん好きだけど恋愛的な意味では好きじゃないよ…』


よかった…


翡翠が紺のこと好きとか言ったらこの世の終わり…


『…なんで?』


「ん?」


『なんで、葵がそんなこと気にするの?そんな安心したような顔するの?…葵には花梨がいるのに』


「…待て。違う」


『違う?なにが?』


「花梨との婚約は解消した」


『…うそでしょ』


「うそじゃない」


『だって…葵、昨日花梨とキスしてたじゃん…紺も二人が抱き合ってるところ見たって』


「は?」


『葵、花梨のことが好きなんでしょ?…まあ、私には関係ないけど』


「…」


『…私、葵に好きな人ができるなんて思ってもみなかったよ。小さいころからどんなにかわいい子にアプローチされてもなびかなかったもんね。』


「…」


『もう一度言うけど、葵、オメデトウ。私、二人のこと応援するね』


「…もう、黙れよ」


『んっ』


***