翡翠の一輪花

もう、泣いちゃだめだ。


むりやり気合を入れて部屋を出る。


そのまま用意された部屋に戻って…


倒れこむように眠った_














「…ん」


イタイ…


イタイ…


頭がガンガンする…


われちゃいそう…


うっすらと瞳を開く_


もう、朝か…


ゆっくりと体を起こす…


とたん、


「うっ」


視界がぐにゃりと曲がり、再び布団に倒れこんだ。


やば、


意識が…





ガラッ


『翡翠!!』


だ、れ…?


『だいじょうぶか!?』


「あ、おい…?」


『よかった…いなくなったかと思った…』


「葵…」


『で、昨日の夜、どこにいたんだよ?』


「…さあ?」


『どこにいたんだよ??』


「うっ」


葵の後ろに般若が見える…


『さっさと言えよ』


「…散歩」


『あ?』


「久しぶりに屋敷の中を散歩してたの。」


『はあ!?』


あなたのキスを目撃して隠れて泣いてました、なんて言えるわけないじゃん…


『ん?てかお前顔赤くね?』


「っ」


葵の顔が、私の顔に近づいてきた。


コツン、額がくっつく。


「///」


『おまっ、絶対熱あるだろ…!!』


「ん~?そんなことないよぉ…」


『いや、この暑さは絶対ある!!第一、こんなに弱ってるじゃないか…』


「それは…」


『ちょっと待ってろ。なんか冷やすもん持ってくる』


「…」


『ひ、すい…?』


「…いかないで」


『っ、でも…』


「ここにいて…」


『~わかった』


「ありがとう」


『…ああ』


「…葵、おめでと」


『?』


「やっと念願の若頭になれたんでしょ?」


『…ああ』


「私、うれしいなぁ…葵が、夢を叶えられて」


『翡翠…』


「それに、…」


『まだなんかあんのか?』


「花梨っていうかわいい子を捕まえたもんね」


『は?』


「いいなぁ…立場も、将来の相手も捕まえて…私は、これからもずっとひとりでいるんだろうなぁ…」


『おい、』


コンコン


『失礼します。若、そろそろ…』


『あ、ああ…翡翠、悪い。これから会合が…』


「…」


『翡翠?』


「あ、うん。いってらっしゃい…」