タワーマンションに戻った後、二人は軽い夕食を済ませた。リビングのソファに腰掛け、蓮はワイングラスを揺らしている。昼間のカジュアルな服装とは裏腹に、その佇まいは夜の支配者そのものだった。
「今日の外出は、どうだった?」
蓮が尋ねた。
「楽しかったわ、蓮。久しぶりに普通の生活に戻った気がして」
「普通の生活、か。君はもう、その『普通』から抜け出しているのだ、琴音。私の隣で、誰にも侵されない極上の生活を送っている」
彼の言葉は、琴音を彼の世界に繋ぎ止める鎖のように響く。
「でも、一つだけ残念だったわ」
琴音がそう言うと、蓮は怪訝な顔をした。
「何だ?」
「蓮が、モンブランを一口しか食べなかったこと。あんなに美味しいのに」
琴音は笑った。蓮は、その顔をじっと見つめ、ワインを飲み干した。
「モンブランよりも、甘いものがあることを、君に教えなければならない」
彼はそう言うと、グラスをテーブルに置き、琴音の手を取り、そのままベッドルームへと向かった。
寝室の扉が閉まると、蓮は一瞬にして昼間の冷静さを脱ぎ捨てた。
「昼間の君は、楽しそうだった」
彼は、琴音のパジャマのボタンをゆっくりと外し始めた。その手つきは、いつも以上に丁寧だが、その瞳には、昼間の外出で抱いた不満が渦巻いているように見える。
「私の知らない景色を見て、私の知らない表情で笑っていた。あの男が君に話しかけた時、なぜ君はすぐに私に知らせなかった?」
「え?誰のこと?そんな人いなかったわ」
琴音は心当たりのない質問に戸惑った。
「電車の中だ。隣に立っていた男が、君の髪を褒めるような視線を送っていた。君は気づいていたはずだ」
蓮の嫉妬は、あまりにも細かいところまで及んでいた。
「ただ見られていただけよ。私は、蓮にしか興味ないのに」
琴音は、彼の嫉妬が嬉しくて、彼の首に腕を回した。
「嘘だ。君の瞳は、昼間、私以外のものに光を向けていた」
蓮は、そう言うと、琴音の唇を激しく塞いだ。そのキスは、まるで昼間に受けた琴音の視線や笑顔を、すべて奪い返すかのような貪欲さだった。
キスが途切れると、蓮の顔は嫉妬と独占欲に歪んでいた。
「君のすべては、私のものだ。君の肌は、私以外の熱を、一秒たりとも覚えていてはならない」
蓮は、琴音の服を完全に脱ぎ去ると、その体をベッドに押し付けた。
「今夜は、契約ではない。君が、私以外のものに意識を向けたことへの罰だ」
彼の言葉は冷たいが、彼の体温は熱い。それは、彼の理性と感情が、激しく矛盾している証拠だった。
彼の舌が、琴音の首筋、胸元、そして体の隅々までを丁寧に辿る。その愛撫は、まるで地図を広げるように、琴音の体すべてに彼の所有権のサインを刻みつけているようだった。
「私の匂いを、深く吸い込め、琴音。君の体から、私以外のものはすべて消し去る」
琴音は、彼の強引な愛撫に身を委ねながら、彼の嫉妬が、契約を超えた彼の本音だと感じていた。
「蓮……私も、あなたがいい。あなただけがいいの」
琴音の心の底からの囁きに、蓮の動きが一瞬止まった。
「……本当に、そう思っているのか?」
蓮は、荒い息の中、琴音の瞳をまっすぐに見つめた。その瞳には、疑念と、切望が混在していた。
「ええ。あなたの独占欲が、私には愛に感じる。あなたは、契約で縛っていても、私を誰にも渡したくないのね」
琴音の純粋な言葉が、彼の最も固い鎧を突き破った。
蓮は、琴音の頭を胸に押し付けるように抱き締め、低い声で呻くように言った。
「君が他の男と話すのが、気に食わない。君の視線が私から逸れるのが、私には耐え難い。これは、合理的ではない。ただの……独占欲だ」
蓮は、初めて「合理的ではない」という言葉を口にした。それは、彼が感情を制御できていないことの、紛れもない証明だった。
「君が私に恋していることを、私は知っている。そして、私もまた……君に囚われている」
彼は、そう言うと、理性という名の枷を完全に外し、愛と独占欲が混ざり合った情熱のままに、琴音を強く求めた。
激しく求め合い、愛の頂点に達した後、蓮は琴音を強く抱き締めたまま、耳元で熱い吐息とともに囁いた。
「君を離さない。たとえ契約が終わろうと、君の居場所は、私の隣だけだ」
この夜、二人は契約という名の壁を打ち破り、互いの本音を露呈させた。それは、二人の関係が、単なる契約から、止めようのない溺愛へと進化を遂げた瞬間だった。
「今日の外出は、どうだった?」
蓮が尋ねた。
「楽しかったわ、蓮。久しぶりに普通の生活に戻った気がして」
「普通の生活、か。君はもう、その『普通』から抜け出しているのだ、琴音。私の隣で、誰にも侵されない極上の生活を送っている」
彼の言葉は、琴音を彼の世界に繋ぎ止める鎖のように響く。
「でも、一つだけ残念だったわ」
琴音がそう言うと、蓮は怪訝な顔をした。
「何だ?」
「蓮が、モンブランを一口しか食べなかったこと。あんなに美味しいのに」
琴音は笑った。蓮は、その顔をじっと見つめ、ワインを飲み干した。
「モンブランよりも、甘いものがあることを、君に教えなければならない」
彼はそう言うと、グラスをテーブルに置き、琴音の手を取り、そのままベッドルームへと向かった。
寝室の扉が閉まると、蓮は一瞬にして昼間の冷静さを脱ぎ捨てた。
「昼間の君は、楽しそうだった」
彼は、琴音のパジャマのボタンをゆっくりと外し始めた。その手つきは、いつも以上に丁寧だが、その瞳には、昼間の外出で抱いた不満が渦巻いているように見える。
「私の知らない景色を見て、私の知らない表情で笑っていた。あの男が君に話しかけた時、なぜ君はすぐに私に知らせなかった?」
「え?誰のこと?そんな人いなかったわ」
琴音は心当たりのない質問に戸惑った。
「電車の中だ。隣に立っていた男が、君の髪を褒めるような視線を送っていた。君は気づいていたはずだ」
蓮の嫉妬は、あまりにも細かいところまで及んでいた。
「ただ見られていただけよ。私は、蓮にしか興味ないのに」
琴音は、彼の嫉妬が嬉しくて、彼の首に腕を回した。
「嘘だ。君の瞳は、昼間、私以外のものに光を向けていた」
蓮は、そう言うと、琴音の唇を激しく塞いだ。そのキスは、まるで昼間に受けた琴音の視線や笑顔を、すべて奪い返すかのような貪欲さだった。
キスが途切れると、蓮の顔は嫉妬と独占欲に歪んでいた。
「君のすべては、私のものだ。君の肌は、私以外の熱を、一秒たりとも覚えていてはならない」
蓮は、琴音の服を完全に脱ぎ去ると、その体をベッドに押し付けた。
「今夜は、契約ではない。君が、私以外のものに意識を向けたことへの罰だ」
彼の言葉は冷たいが、彼の体温は熱い。それは、彼の理性と感情が、激しく矛盾している証拠だった。
彼の舌が、琴音の首筋、胸元、そして体の隅々までを丁寧に辿る。その愛撫は、まるで地図を広げるように、琴音の体すべてに彼の所有権のサインを刻みつけているようだった。
「私の匂いを、深く吸い込め、琴音。君の体から、私以外のものはすべて消し去る」
琴音は、彼の強引な愛撫に身を委ねながら、彼の嫉妬が、契約を超えた彼の本音だと感じていた。
「蓮……私も、あなたがいい。あなただけがいいの」
琴音の心の底からの囁きに、蓮の動きが一瞬止まった。
「……本当に、そう思っているのか?」
蓮は、荒い息の中、琴音の瞳をまっすぐに見つめた。その瞳には、疑念と、切望が混在していた。
「ええ。あなたの独占欲が、私には愛に感じる。あなたは、契約で縛っていても、私を誰にも渡したくないのね」
琴音の純粋な言葉が、彼の最も固い鎧を突き破った。
蓮は、琴音の頭を胸に押し付けるように抱き締め、低い声で呻くように言った。
「君が他の男と話すのが、気に食わない。君の視線が私から逸れるのが、私には耐え難い。これは、合理的ではない。ただの……独占欲だ」
蓮は、初めて「合理的ではない」という言葉を口にした。それは、彼が感情を制御できていないことの、紛れもない証明だった。
「君が私に恋していることを、私は知っている。そして、私もまた……君に囚われている」
彼は、そう言うと、理性という名の枷を完全に外し、愛と独占欲が混ざり合った情熱のままに、琴音を強く求めた。
激しく求め合い、愛の頂点に達した後、蓮は琴音を強く抱き締めたまま、耳元で熱い吐息とともに囁いた。
「君を離さない。たとえ契約が終わろうと、君の居場所は、私の隣だけだ」
この夜、二人は契約という名の壁を打ち破り、互いの本音を露呈させた。それは、二人の関係が、単なる契約から、止めようのない溺愛へと進化を遂げた瞬間だった。

