陽翔が小学校高学年に差し掛かる頃、日々の生活は少しずつ変化していた。朝の支度や宿題、学校での出来事を話してくれる陽翔は、日に日に自分の意見をはっきり言うようになり、成長を実感する日々だ。
朝のキッチンでは、康太さんがコーヒーを淹れ、私が朝食を用意する。陽翔はリビングでランドセルを背負いながら、今日の授業や友達との話を楽しそうに話す。結愛はまだ幼く、陽翔の話に目を輝かせて耳を傾ける姿が微笑ましい。
「にぃに、今日学校でなにしたの?」
陽翔は笑いながら、「今日は理科の実験があってね……」と話を続ける。結愛はその様子をじっと見つめ、時折拍手をしては笑顔になる。
学校から帰宅した陽翔は、宿題に取り組みつつも、結愛の世話も自然と手伝うようになった。私が夕食を作っている間、康太さんと陽翔が一緒に結愛の遊び相手になる光景は、家族の日常の中で最も温かい時間のひとつだった。
「にぃに、ブロック一緒にやろう!」
「いいよ、結愛。こうやるんだよ」
陽翔は結愛に教えながら、自分も遊びを楽しむ。妹と兄の関係は、喧嘩よりも助け合いが多く、互いに成長を支え合っていた。
陽翔が中学生になった頃、私たち夫婦は彼の成長を実感しながら、結愛との関わりにも目を向ける。結愛は小学校低学年となり、好奇心旺盛で、家の中を元気に駆け回る。陽翔はそんな妹を見守る立場となり、時には勉強を教え、時には一緒に遊ぶ姿が微笑ましい。
学校行事や家族のイベントも、子供たちの成長を感じる瞬間だった。運動会では、陽翔がリレーで力いっぱい走る姿を見て胸が熱くなる。結愛はまだ小さいながらも応援の旗を振り、兄に向かって声を張り上げる。その様子を康太さんと並んで見守ると、家族の絆の深さを改めて感じる。
また、日常の小さな会話も、家族をつなぐ大切な時間だ。夕食の後、陽翔が学校であった出来事を話し、結愛がそれに興味津々で質問をする。康太さんは静かに微笑みながら、「そうか、それは面白かったね」と相槌を打つ。私はその隣で、二人の成長を見守りながら、静かに幸せを噛みしめる。
時折、陽翔は私たちに質問することもある。
「ママ、パパはどうやって出会ったの?」
「どうして一緒にいるの?」
そんな時、私は康太さんと顔を見合わせ、笑顔で答える。
「高校の文化祭でね、一緒に準備して、片付けして、運営も手伝ったんだよ。そのあと、一緒に花火を見て……それで仲良くなったの」
「なるほど……じゃあ、僕も結愛と仲良くするのが楽しみだな」
陽翔の言葉に、私たちは優しく頷き、家族としての時間が少しずつ未来へと積み重なっていくことを感じる。
結愛も少しずつ成長し、幼いながらも兄や私たち夫婦の真似をして家事の手伝いをしたり、遊びの中で自分の考えを伝えるようになった。陽翔はそんな妹を見守りながら、自分の思いやりを学び、妹への優しさを育んでいく。
学校生活、家族行事、日常の小さな出来事――それらすべてが、陽翔と結愛の成長を支え、私たち夫婦の絆も深める。夜、寝室で子供たちを見守りながら、康太さんと手を握る瞬間、私は心から思う。
「この家族と一緒なら、どんな未来も楽しみだね」
外には夜空の星が瞬き、月の光が差し込む中で、陽翔と結愛、康太さんと私。私たち家族の日々は、静かに、しかし確かに、続いていく。