こちらに向けられる純粋な瞳。
ラインアーサは、窓の方へ視線を逃がしながら呟く。
「……優しいな」
「え?」
「スズランは、誰にでも」
淡々とした声。でも、その奥に混じるものがある。それが何か自分でも分かっていた。
スズランは一瞬だけ戸惑う様な顔を見せ、すぐに首を振る。
「……違う。わたしは……ライアが思ってるような、そういう気持ちではなくて……」
その否定にちくちく胸が痛む。
(分かってる)
分かっているのに。
沈黙。
不意に、スズランが抱える書物から何かがひらりと落ちた。床に落ちたのは以前リーナから貰った小さな栞だ。互いに栞に目が行く。
「……」
ほぼ同時に手を伸ばしたが、先に栞を拾い上げたのはラインアーサだ。
何も言葉にしないまま二人の距離が空く。
それでも迷いながらスズランが一歩だけ近づく。
「……一緒に、考えたいの」
小さく。でも、まっすぐ胸に響く声。
「分からないことも、怖いことも……全部」
僅かに震えている言葉に、ラインアーサは漸く視線を戻す。
無理に笑顔を作ろうとしているが、今にも泣き出しそうなスズランの顔。その顔にラインアーサは如何に己が愚かでなのかを思い知った。独りよがりな欲で縛り付けたい訳では無いのだ。
(そんな顔をさせる為じゃあない……)
迷いは消えた訳ではない。不安も、全部そのまま。それでも。
ラインアーサは、窓の方へ視線を逃がしながら呟く。
「……優しいな」
「え?」
「スズランは、誰にでも」
淡々とした声。でも、その奥に混じるものがある。それが何か自分でも分かっていた。
スズランは一瞬だけ戸惑う様な顔を見せ、すぐに首を振る。
「……違う。わたしは……ライアが思ってるような、そういう気持ちではなくて……」
その否定にちくちく胸が痛む。
(分かってる)
分かっているのに。
沈黙。
不意に、スズランが抱える書物から何かがひらりと落ちた。床に落ちたのは以前リーナから貰った小さな栞だ。互いに栞に目が行く。
「……」
ほぼ同時に手を伸ばしたが、先に栞を拾い上げたのはラインアーサだ。
何も言葉にしないまま二人の距離が空く。
それでも迷いながらスズランが一歩だけ近づく。
「……一緒に、考えたいの」
小さく。でも、まっすぐ胸に響く声。
「分からないことも、怖いことも……全部」
僅かに震えている言葉に、ラインアーサは漸く視線を戻す。
無理に笑顔を作ろうとしているが、今にも泣き出しそうなスズランの顔。その顔にラインアーサは如何に己が愚かでなのかを思い知った。独りよがりな欲で縛り付けたい訳では無いのだ。
(そんな顔をさせる為じゃあない……)
迷いは消えた訳ではない。不安も、全部そのまま。それでも。



