「アーサが迷うのは〝大事にしている証〟だからだ。それに、俺も何だか憎めないんだよな……ハリの事。なんて言うか、、尊敬してる先輩とちょっと雰囲気が似ててさ。あ、畏まるなって言ってたし、今まで通りハリでいいよな?」
ジュリアンは少し砕けた口調で余韻を残し、距離を取る。そして「じゃあ、俺はここで」と明るく手を挙げながら廊下を外れた。
部屋へ戻る廊下を並んで歩く。
けれど、どこかぎこちない。
「……ハリさんのこと」
先に口を開いたのは、スズランだった。
静かな声。
「ハリの事?」
「怖いわけじゃ、ないの。でも……ハリさん、とても不安そうで」
言葉を選ぶ様に、ゆっくりと。
だがその一言で胸の奥が、僅かにさざめく。
(不安そう、か)
ラインアーサは、何も言わない。いや言えなかった。
そう見えるのか、そう感じるのか。
それは、恐らく間違いではない。でも───。
(……なんで)
自分でも気付かない、微かな棘が胸に刺さる。
扉が閉まり部屋の中、ふたりきりの静寂が落ちる。スズランは少しだけ振り向いて微笑むが、ほんの少しぎこちない。
「……あの。借りてた本、ぜんぶ読んだの。持ってくるね」
スズランは一旦自室へと入り、先日貸した小フリュイ公国の書物を胸に戻ってきた。
「貸してくれてありがとう。やっぱりまだ記憶は曖昧だけど、、小フリュイの事たくさん書いてあって、なんだか不思議な気持ちになったの」
ジュリアンは少し砕けた口調で余韻を残し、距離を取る。そして「じゃあ、俺はここで」と明るく手を挙げながら廊下を外れた。
部屋へ戻る廊下を並んで歩く。
けれど、どこかぎこちない。
「……ハリさんのこと」
先に口を開いたのは、スズランだった。
静かな声。
「ハリの事?」
「怖いわけじゃ、ないの。でも……ハリさん、とても不安そうで」
言葉を選ぶ様に、ゆっくりと。
だがその一言で胸の奥が、僅かにさざめく。
(不安そう、か)
ラインアーサは、何も言わない。いや言えなかった。
そう見えるのか、そう感じるのか。
それは、恐らく間違いではない。でも───。
(……なんで)
自分でも気付かない、微かな棘が胸に刺さる。
扉が閉まり部屋の中、ふたりきりの静寂が落ちる。スズランは少しだけ振り向いて微笑むが、ほんの少しぎこちない。
「……あの。借りてた本、ぜんぶ読んだの。持ってくるね」
スズランは一旦自室へと入り、先日貸した小フリュイ公国の書物を胸に戻ってきた。
「貸してくれてありがとう。やっぱりまだ記憶は曖昧だけど、、小フリュイの事たくさん書いてあって、なんだか不思議な気持ちになったの」



