「ライア……おやすみなさい」
「おやすみ、スズラン」
ラインアーサは甘く微笑みながら、スズランの瞼に唇を落とした。そっと顔を離した筈なのに、スズランの瞳はまだ閉じたままだ。長い睫毛が微かに震えている。
「スズラン?」
呼びかけるとゆっくり瞳が開いた。すぐ目の前にある距離に、互いに一瞬言葉を失う。
「……ライア」
小さく名前を呼ばれて、ラインアーサの理性が少しだけ揺らいだ。思わず、もう一度手を伸ばしかけた───その時。
コンコン。
「殿下、夜分失礼いたします」
またもやサリベルの落ち着いた声が扉の向こうから響いた。その声にラインアーサは小さく息を整えた。
「どうした、サリー」
「お休み前に香草のお茶をお持ちしました。今夜は特別冷え込みますので」
「……そうか、ありがとう」
スズランはまだ赤い顔で、ラインアーサは咳払いをして平静装いながら扉を開ける。サリベルはそれを見て「……ご安心ください、すぐ失礼いたしますので」と察しながらも空いた食器を片付け始めた。
去り際にほんの一瞬ラインアーサを見る。そして───。
「スズラン様、明日の作法の授業の準備が整いましたらお知らせに参りますので、朝はゆっくりで大丈夫ですよ。それでは、おやすみなさいませ」
「はい」
そのまま一歩下がり、軽く頭を下げる。
「アーサ様も、……おやすみなさいませ」
「ああ」
廊下にサリベルの足音が遠ざかっていく。二人の間に、少しだけ気まずい沈黙が落ちた。
「おやすみ、スズラン」
ラインアーサは甘く微笑みながら、スズランの瞼に唇を落とした。そっと顔を離した筈なのに、スズランの瞳はまだ閉じたままだ。長い睫毛が微かに震えている。
「スズラン?」
呼びかけるとゆっくり瞳が開いた。すぐ目の前にある距離に、互いに一瞬言葉を失う。
「……ライア」
小さく名前を呼ばれて、ラインアーサの理性が少しだけ揺らいだ。思わず、もう一度手を伸ばしかけた───その時。
コンコン。
「殿下、夜分失礼いたします」
またもやサリベルの落ち着いた声が扉の向こうから響いた。その声にラインアーサは小さく息を整えた。
「どうした、サリー」
「お休み前に香草のお茶をお持ちしました。今夜は特別冷え込みますので」
「……そうか、ありがとう」
スズランはまだ赤い顔で、ラインアーサは咳払いをして平静装いながら扉を開ける。サリベルはそれを見て「……ご安心ください、すぐ失礼いたしますので」と察しながらも空いた食器を片付け始めた。
去り際にほんの一瞬ラインアーサを見る。そして───。
「スズラン様、明日の作法の授業の準備が整いましたらお知らせに参りますので、朝はゆっくりで大丈夫ですよ。それでは、おやすみなさいませ」
「はい」
そのまま一歩下がり、軽く頭を下げる。
「アーサ様も、……おやすみなさいませ」
「ああ」
廊下にサリベルの足音が遠ざかっていく。二人の間に、少しだけ気まずい沈黙が落ちた。



