─── ♠ ───
「……すみません、取り乱しちゃって」
「いや、別に………」
伏せられた瞼。
長い睫毛が月光を拾って、淡く白く光っている。
気まずそうに揺れる細い指先。
その仕草ひとつひとつが、やけに目について離れない。
……こんなの、ずるいだろ。
胸の奥が、さっきからずっと落ち着かない。
熱が引くどころか、むしろ一方的に増していくみたいだった。
でも、その熱の奥で。
現実だけが、やけに冷たく刺さってくる。
「なんでああなったか気になりますよね。ちょっとだけ、話を聞いてもらえますか……?」
「……ああ」
返事をした声が、まるで自分のものじゃないみたいに重い。
(……コイツは男、だ)
理性が、耳の奥で何度も繰り返す。
どれだけ綺麗でも。
どれだけ柔らかく見えても。
どれだけ今、目の前で弱さを見せていても。
俺が抱き寄せかけた相手は。
さっき、この手を掴んだのは。
──“男”だ。
そう思った瞬間、胸の奥が妙にざわつく。
否定したいわけじゃない。
でも、納得できないまま………感情だけが先に進んでいく。
「……すみません、取り乱しちゃって」
「いや、別に………」
伏せられた瞼。
長い睫毛が月光を拾って、淡く白く光っている。
気まずそうに揺れる細い指先。
その仕草ひとつひとつが、やけに目について離れない。
……こんなの、ずるいだろ。
胸の奥が、さっきからずっと落ち着かない。
熱が引くどころか、むしろ一方的に増していくみたいだった。
でも、その熱の奥で。
現実だけが、やけに冷たく刺さってくる。
「なんでああなったか気になりますよね。ちょっとだけ、話を聞いてもらえますか……?」
「……ああ」
返事をした声が、まるで自分のものじゃないみたいに重い。
(……コイツは男、だ)
理性が、耳の奥で何度も繰り返す。
どれだけ綺麗でも。
どれだけ柔らかく見えても。
どれだけ今、目の前で弱さを見せていても。
俺が抱き寄せかけた相手は。
さっき、この手を掴んだのは。
──“男”だ。
そう思った瞬間、胸の奥が妙にざわつく。
否定したいわけじゃない。
でも、納得できないまま………感情だけが先に進んでいく。



