君は、狂愛の檻の中 ~偽りの君に恋をした~

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雲ひとつない、どこまでも澄み渡る青い空。


爽やかな午後の風が吹き抜ける、開放感いっぱいの屋上。





あまりにも穏やかな空気に、ここが任務中の場所だということを忘れそうになる。

───そう思った、その時だった。




「…………おい、お前。……ここが誰の場所か分かってんのか?」


「ぅ、わっ!?」




静寂を破るように頭上から落ちてきたのは、低く掠れた、冷徹な声。




(やっとか…………)


事前に調べた通りの時間。

────彼がこの屋上へ来ることも、当然わかっていた。




背後に立つ気配にも、とっくに気づいている。

……けれど、それを悟らせるつもりはない。




あくまで私は、ただの気弱な転校生。



まるで今、初めてその存在に気づいたかのように────。


私はビクッと大袈裟に両肩を揺らし、恐怖に怯える哀れな獲物を完璧に演じてみせた。






「ここは俺様の場所だっつってんだよ。……わかったらとっとと失せろ、目障りだ。」


怯える私を見下ろし、彼は満足げに喉の奥で低い声を響かせる。





俺様の場所、ねぇ…………。



彼が毎日のようにこの屋上へ来ることも、ここを自分の場所だと思っていることも、事前に調べ済みだった。

──だからこそ、私はここを選んだんだけど。






(というか、屋上は学校の共有スペースだし、そもそも私の方が先にいたんだけどなぁ……)



心の中で盛大に毒づきながらも、顔の筋肉を瞬時にコントロールする。