君は、狂愛の檻の中 ~偽りの君に恋をした~

─── ♠ ───





「………そうだ、今週末には”暴走”がある」


蓮さんが不意に、騒がしい空気を切り裂くように切り出した。




「………暴走?」


「そっか、最近入った由良は知らないよね。暴走って言うのはね………俺たちみたいな族が力を示すために、夜の街をバイクとかで走る一大イベントのことだよ。」



「…………っていうのは建前で、まあ、いわゆる男のロマンってやつかな〜」


へらっと笑って付け足した旭。




(男のロマン、かぁ…………。)


こんな姿をしていても私は一応女子だし、正直、群れて走ることに何のロマンがあるのかはさっぱりわからない。

────けれど、護衛官としてのセンサーが最大レベルで警鐘を鳴らす。



大勢が入り乱れ、視界が悪く、エンジン音で周囲の音が遮られる夜の公道。

……つまり、敵にとっては”絶好のタイミング”ってことだよね。



出来ることなら最前線で張り付きたい。

………けど、いくら総長に気に入られているといっても、入ったばかりの新入りをそう易々と特攻の列に加えてはくれないだろう。



(………さて、どうしようか。)


こっそり後をついて行く?

それとも、この”協力関係”を利用して、内側から食い込むか───