君は、狂愛の檻の中 ~偽りの君に恋をした~



「………あ、そうだ」


溜まり場への帰り道、ふと何かを思い出したように私を振り返った桃華。

夕暮れに近い陽光が、彼女の横顔を淡く照らしている。




「どうしました?」

「あの……聞いていいのかよくわからないけど、由良くんは、どうして顔を隠していていたの……?絶対素顔の方がいいと思うんだけど……」



あー、やっぱりそこに来るよね。



潜入当初の私は、目立たないよう、そして身元を隠すために。

野暮ったい変装と前髪で顔を半分以上隠していた。





「あー、その件なんですけど……」

「…………?」


「桃華さん、僕が桃華さんの気持ちを黙っている代わりに、桃華さんも僕の秘密、黙っていてくれませんか?」


「私、が……?」

「詳しくは言えないんですけど、僕、昔容姿のせいでひどい目にあって。……それ以降、顔を隠して生活していたんです」


嘘。……けれど、真実を混ぜた嘘。




「そう、なんだ………」


「知っているかもしれませんが僕はつい最近、ここら辺に引っ越してきました。なので、僕の素顔を知っているのは現状桃華さんだけです。」

「…………」