………まあ、言っていることはわかる。
本当は全部計算して動いていたし………
こうして向こうから「身内」として迎え入れてくれるのなら、姫──”桃華”に近づく手間が大幅に省けたことになる。
私にとってはメリットしかないはずなのに。
胸の奥をざわつかせる、この奇妙な違和感は何だろう。
……なにか、物事がうまくいき過ぎている気がする。
(まるで、見えない誰かの掌の上で踊らされているような………)
「で、でも………みなさんに、迷惑かけちゃいます……!それに、蓮さんたちを庇ったのだって僕自身の意思だし………」
私はあえて、おどおどとした仕草を強調しながら身を引いてみせた。
ここで安易に飛びつくのは不自然だ。
………まずは「弱々しい一般人」としての逃げ道を作っておかなければならない。
────そう、思ったのに。
「僕は別に迷惑なんて思ってないけどね」
大晴さんが穏やかな笑みのまま、私の懸念をさらりと受け流す。
「俺もー。なんか、おもしろそうじゃん?」
裕太さんは、おもちゃを見つけた子供のような瞳でこちらをニヤニヤと見つめている。
「最近、ヒマしていましたもんね。」
李兎さんまでもが、メガネのブリッジを押し上げながら当然のように同意した。
「なっ?だから、………」
彼らのあまりにも軽快なノリに、私の偽装された反論は行き場を失う。
(この人たち、正気………?)
もし私が、”姫の護衛”以外の任務を受けていたとしたら。
本物の、刺客だったとしたら。
───もう、そこに彼らの命はない。



