「お前ら、いつの間にそんなに仲良く……」
「ついさっきですよ。話していたら意気投合して………」
ニコニコと仮面を張り付けて笑う私を見て、レンさんはますます眉をひそめた。
その不機嫌そうな様子に、作戦通りだと心の中でほくそ笑む。
「………大丈夫か、桃華。コイツになんか変なことされてねぇか?」
今度は、桃華さんに向けられる視線。
問いかける言葉は過保護そのものだけれど。
────その横顔は、どこか焦燥に駆られているような、複雑な色を帯びていた。
「え、あ、うん。……蓮くんってば、心配性だなぁ……」
桃華さんは少し照れくさそうに、けれど私の存在を肯定するように笑う。
”好きなのかもしれない”
昨日、レンさんがこぼした迷いの言葉が、ふと頭をよぎった。
……もし、レンさんのその感情が本当だったら、二人は完全に両思い。
桃華さんからは直接聞いたし、レンさんの気持ちもきっと………”そういう”ことなんだろう。
二人が結ばれるのは二人の勝手だし、私なんて関係ないはずなのに。
……どうして、こんなに、胸がモヤモヤするんだろう。
─── ♠ ───
「………そうだ、今週末には”暴走”がある」
レンさんが不意に、重苦しい空気を切り裂くように切り出した。
「………暴走?」
「そっか、最近入った由良は知らないよね。暴走って言うのはね………僕たちみたいな族が力を示すために、夜の街をバイクとかで走る一大イベントのことだよ。」
「…………っていうのは建前で、まあ、いわゆる男のロマンってやつかな〜」
へらっと笑って付け足した旭。
男のロマン、かぁ…………。
こんな姿をしていても私は一応女子だし、正直、群れて走ることに何のロマンがあるのかはさっぱりわからない。
────けれど、護衛官としてのセンサーが最大レベルで警鐘を鳴らす。
大勢が入り乱れ、視界が悪く、エンジン音で周囲の音が遮られる夜の公道。
……つまり、敵にとっては”絶好のタイミング”ってことだよね。
出来ることなら最前線で張り付きたい。
………けど、いくら総長に気に入られているといっても、入ったばかりの新入りをそう易々と特攻の列に加えてはくれないだろう。
………さて、どうしようかなぁ。
こっそり後をついて行く?
それとも、この”協力関係”を利用して、内側から食い込むか───

