君は、狂愛の檻の中 ~偽りの君に恋をした~

♦︎ Y.Sのモノローグ



小さい頃に両親と兄を失った私と唯一血のつながりを持つ由良。


女子顔負けの可愛い顔とゆるさをしながらも、私を傷つける者には一番残酷で容赦ない凪。


実の兄のように接してくれて、いつだって私の味方をしてくれた朔夜。


誰よりも私のことを考えて、誰よりも私のために行動してくれた紘。





……そんな彼らが、私の人生においての唯一の救いだった。










何もかもを失って、真っ暗闇だった私の世界に、彼らは突然現れて光をくれた。


家族を亡くしたあの日のからっぽな私の心を、彼らの不器用で、けれど酷く一途な温もりだけが満たしてくれたのだ。





彼らはいつも、私のことを「俺たちのすべて」だと口にする。


私のために笑い、私のために怒り、私のためにその人生を惜しみなく捧げようとしてくれる。




正直に言えば、私には彼らがそこまでしてくれる理由が分からなかった。


────どこにでもいる、ただのありふれた少女でしかない自分に、それほど重く、深い愛を注がれる価値があるなんて、どうしても思えなかったから。





───けれど、それでも。


彼らの瞳に宿る、私への狂おしいほどの情熱を見るたびに、いつも胸の奥がぎゅっと締め付けられた。



─────理由なんて、本当はどうでもよかったのかもしれない。



彼らが私を必要としてくれるなら。


彼らの優しさに甘えていられるのなら、この歪で、けれどあまりにも温かい幸福の中に、ずっと溺れていたいと願っていた。





彼らと過ごす穏やかな日々こそが、私の世界のすべてだと、本気で信じていたのだ。



──あの恐ろしい夜が、訪れるまでは。