君は、狂愛の檻の中 ~偽りの君に恋をした~


コツ……コツ……

音だけが、やけに耳についた。


そして─────。



「みんな無事?怪我とかしてないー?」


どこからか、その場には不釣り合いなほどゆったりとした声が響いた。
私はパチッと閉じていた目を開く。



視線を向けた先。
そこには、危うげな笑みを浮かべた男──”朔夜(サクヤ)”がいた。


「じゃ、あとは任せて。人を呼ぶから」


そう言って、スマホを耳に当てて二言三言、相手と淡々と話し始める。



それから数分後。


どこからともなくスーツ姿の男たちが数人現れて、物言わぬ肉塊となった男たちを次々と運び出していった。



「よし」


運ばれていく最後の一人を見届け、私たちは五人で顔を見合わせる。


…………パチン、と。


五人の手が重なり、乾いた音が響いた。


「「「「「mission complete」」」」」



今日も裏切り者には、制裁が下る──。









氷晶の五戦華〈Crystal Pentas〉



影でそう呼ばれているように、幼なじみである私たちは五人でひとつ。


家族同然の切っても切れない固い絆で結ばれている私たちは、今までの人生の大半を五人で過ごしてきた。



…………そして。


これからも私たちは、変わらずこの残酷な世界を生きていくんだと思う。
”幸せ”とはかけ離れた人生だけど、みんながいてくれればそれでいい。


みんなが笑ってくれれば、それでいい。


どんなにツラく苦しいことでも、みんながいれば乗り越えられる。



…………そう、思っていたのに。




”あたりまえ”の日常は、あっけなく崩れ落ちた。