君は、狂愛の檻の中 ~偽りの君に恋をした~

♦︎ scene3



彼らの歪んだ愛に包まれ、無事に再会を果たした──そう思った、次の瞬間だった。




「──待ちやがれ、ガキども。ウチの連中をここまで無惨にコケにしておいて、五体満足で帰れるとでも思ったか?」






地を這うような、執念深い男の声が部屋の静寂を破る。


剥き出しのコンクリート壁に隠されていた鉄の扉が開き、そこから姿を現したのは、この誘拐事件の首謀者である黒幕の男だった。




男は床に転がる配下たちの惨状に一瞬だけ目を向けたが、すぐにその顔を狂気的な怒りに歪ませる。



───男の右手には、重々しく、冷たく黒光りするリボルバー式の拳銃が握られていた。





「おいおい、そんなに大事そうに抱え込んで……。噂通りの過保護っぷりだな。───だが、ウチを潰した代償は、お前らのその命よりも重い」



男は不敵な笑みを浮かべ、確かな殺意と共に銃口を持ち上げる。





銃口の先が真っ直ぐに狙いを定めたのは──四人の男たちの中央で守られている、彼女の華奢な身体だった。





カチャリ、と撃鉄が起こされる硬い音が、異常なほど鮮明に室内に響き渡る。






「「「「っ、」」」」




四人の男たちの空気が、一瞬で凍りついた。



敵を蹂躙していたときの余裕など完全に消え去り、彼らの瞳に最悪の焦燥が走る。






誰もが動くことすら許されない硬直のなか、男の指が冷徹に引き金へとかけられた、まさにその刹那だった。






「っ、──────」



彼女の視界を完全に遮るように、凄まじい速度でその身を盾にする影があった。





「っ、紘!!!!」


静寂を引き裂くような悲痛な叫びが、薄暗い部屋に木霊する。







──バンッ!!!





────直後、すべてを掻き消すような凄まじい銃声が、冷たい空間に虚しく響き渡った。