君は、狂愛の檻の中 ~偽りの君に恋をした~

♦︎ scene2



薄暗い部屋の片隅で、ーーは縄に縛られて震えていた。




下品な笑みを浮かべた男たちが、とうとうじりじりと距離を詰めてくる。


───その瞬間だった。






バキィィィンッ!!!




凄まじい音を立てて、頑丈な扉が真っ二つに蹴破られた。


土煙の向こうから姿を現したのは──。





「──っ、由衣……!!」





形相を変えた四人の男たち。

その瞳は、怒りで完全に据わっている。




「ひっ、お前ら、なんで──」


誘拐犯たちが青ざめるが、もう遅い。




「……よくも、やってくれたな」



一人が冷たく微笑んだ直後、目にも留まらぬ速さで敵の顎を殴り飛ばした。


鈍い骨の音が響き、敵が壁に叩きつけられる。



言葉を交わす暇すら与えず、男たちは冷徹な手際で次々と敵を容赦なく叩き伏せていった。











あっという間に、部屋の中は静まり返る。



さっきまで無慈悲な化け物のようだった男たちが、彼女を振り返った瞬間、その表情を劇的に和らげた。





「由衣……っ、怖かったよね。ごめん」



彼らは血に染まった手袋を素早く脱ぎ捨て、彼女の元へ駆け寄る。


壊れ物を扱うようにそっと縄を解くと、愛おしそうにその小さな体を抱きしめた。





「見つけた。俺たちの、たった一つの”すべて”」



強く、けれど決して痛ませないように。

……抱きしめながら、男たちは狂おしそうな安堵の息を吐き出した。