君は、狂愛の檻の中

〈由衣side〉


ピチャンと、紅の海に波紋が広がる。


目の前には無残な姿で地面に転がる数人のスーツ姿の男と、それを絶対零度の瞳で見下ろす”闇の絶零帝”。


……その、ツンと血が香るその胸に、私は飛び込んだ。


「紘(ヒロ)っ、」


「………由衣(ユイ)?」


私を映した漆黒の瞳が急に甘く、優しくなる。


その広く、どこか寂し気な背中に手を回し、ぎゅっと彼の背中を抱きしめる。


「大丈夫?怪我、してない?」


「んーどうだろ………」


「ここ、血か出てる………」


わずかに血が滲んでいる唇をつう、と指でなぞると、ゆっくりと薄い唇が弧を描いた。


「…………じゃあ、由衣が癒して?」


そして、次の瞬間──────


ちゅ、と冷たい唇が重なった。


すぐに熱を帯びるお互いの唇。


「…………は、」


そして数秒後、お互いのぬくもりを感じようと再び唇を重ねようとしたその時────