贅沢悪女と断罪された私がドレスを脱ぎ捨てた結果。

マールスの言う通りだ。でも、私はオスカーのようにカッコ悪く縋ることはしたくない。それに、心を全て渡すのは恐ろしい。私は彼女に心を持ってかれそうになるのを、あと一歩のところで必死に耐えていた。兄に裏切られた日を思い出して辛くなるからだ。第二皇子に毒を盛ったのはおそらく一番上の兄であるロキ。彼は私に罪を着せようとした。

皇帝はロキが犯人だと分かっていても、明らかにはしなかった。兄弟が権威の為に殺し合いをしているのは、対外的にマイナスだからだ。皇帝は私を立太子させることで、真犯人に気がついていることを示した。

「どちらにしても全て終わった事だ」
「フレデリック、お前は本当にシェリルが皇太子妃に相応しいと思っていたのか?」

マールスの言い分は分かっている。シェリルを皇太子妃に迎えられても、私が皇帝に即位する段階で皇后にするには反発があるだろう。バロン帝国の皇后は皇帝と同等の権限を持っている。私とイーブンな関係を求める彼女をゆくゆくは皇后にしたいが難しい。プロポーズを断る彼女に「皇后」になれると嘘を吐き何とか繋ぎ止めようとした辺りから、自分が完全に彼女に落ちているようで怖かった。