贅沢悪女と断罪された私がドレスを脱ぎ捨てた結果。

彼は私に言い分を聞いて欲しそうだが興味はない。今の一言で分かった。彼の家は皇帝派の首長でもあり力を持っていた。しかし、私がオスカーの婚約者になってから、ヘッドリー侯爵家に政治的権力は集中した。
政治的側面だけではなく、大きな公共事業はオスカーの計らいでヘッドリー侯爵家が担うようになっていた。

「騎士の誓いを破るのを人のせいにするなんて、本当にいらないわ。さようなら、ランスロット・オベール!」
彼は自分の腰に差していた剣を地面に投げつける。
「シェリル嬢、ここで俺を罰せず野に放って良いのか? 俺はお前に恨みを持っている男を唆して国を傾ける諸悪の根源であるお前にな。腕を切り落とすなり何か罰を与えたらどうだ。ああ、お前は腰は触れても剣は触れないのか」

彼の言いたい事は、この二年で私が気がついて絶望し反省した事だ。回帰前、私の存在がアベラルド王国を狂わしていた。その事実に断頭台で首を落とされる寸前さえも気が付かなかった。私を傷つけようと侮辱する言葉を並べているが、既に私は周りからどう思われているか知って一頻りショックを受けた後。今は傷ついている場合ではない。