贅沢悪女と断罪された私がドレスを脱ぎ捨てた結果。

混乱した中で精査せずに出てきた言葉にシェリルは悲しみを越えて激怒し、僕を追い出した。追い出される直前で花瓶にある二本の赤い薔薇が見える。

───『この世界にはあなたと私二人だけ』

雑音の多い世界で僕たちは二人だけの絆を築いてきた。周りに気を取られ駆け引きをするような不誠実な言葉を紡いだ事の後悔が襲ってくる。
愛に胡座をかいていた? シェリルはそんな子じゃない。彼女は僕を信頼していただけだ。

どれだけ後悔しても、一度出した言葉は戻ってこない。一晩中シェリルの寝室の扉が開かれる事はなかった。

朝方、彼女が侯爵邸から連れて来たメイドのリリアが洗顔の桶を持って現れる。
扉の前で項垂れている僕を見るなり、小さなカード差し出して来た。

「あ、あの。このカードを先程、ローブを着た方に渡されまして」
通常、身分の低い者から上の身分の者への会話は許されない。それ故に緊張しているのだろう。
僕はサッと彼女の手からカードをとった。

『本日、国宝のダイヤモンドを奪いに参ります。怪盗ロンド』

「何だこれは! 渡して来た人間はどこに行った? 男か、女か?」