緊張しながら詳細を聞き出そうとしていると、椅子から立ち上がった会長がゆっくりわたしの目の前にやってきた。
なっ、何!?
身構えて一歩下がるわたしの顔を、会長は覗き込むように見つめる。
「顔見せろ」
「わ、わざわざ見て頂くような大層な顔はございませんので……」
近い近い近いっ!
こんなに見られて、いったいどんな顔をして良いものやらわからない。
うつむいたままのわたしに、会長は大きく息を吐いた。
「ったく、心配掛けやがって」
「あ……すみません……」
「階段から落ちたこと、最初に聞いたときは血の気が引いた」
もう一度「すみません」と言おうとした瞬間、会長はわたしの背にギュッと手を回した。
ギプスを装着した左腕を気遣いながら抱き寄せる優しいその手に、ドキリと心臓が跳ねる。
パニックになるわたしをよそに、母さんとお姉が「きゃっ」と黄色い声を上げている。
「……誰にやられた?」



