「っ」
彼は静かに、わたしの唇の端にキスを落とした。
こちらを見ていないとはいえ、こんなに人のいるところで堂々と何を……!
少しばかりパニックになるわたしをよそに、敬人先輩は何事もなかったかのように窓の外を見る皆さんに声を掛ける。
「あー、UFOじゃなくて、普通に飛行機だったみてーだな」
「何やねんそれ!」
「あはは、信じてなくてもつい見ちゃうよね。……あれ、原さん顔赤くない? 大丈夫?」
木坂先輩から心配そうに聞かれて、わたしはどうにか「は、はい……」とだけ返事をする。
チラリと敬人先輩に視線だけ向けると、どこか満足そうな笑みを浮かべていた。
ああもう。
相変わらず今日も読めない、わたしの好きな人は。
-fin-



