そして、肝心な候補者本人もまた、話の上手さは伊達じゃない。
さすが中学生の頃からずっと生徒会長を続けているだけのことはある。
普段の様子からはとても想像できないぐらいに優等生然としており、皆すっかり聞き入っている。
説得力が違うんだろうな。この人ならまた問題なく生徒会長を務めてくれるという信頼感がある。
やっぱりすごいな。
……と感心している場合ではなかった。
気がつけば会長の演説も終わり、わたしの番がすぐそこに迫っていた。
「この雰囲気の中で……」
今回も引き続き東間敬人で決まりだろうという空気の中、とうとうわたしたちが呼ばれた。
すっかり怖気づいていたわたしの背中を、桃先輩がぽんと叩く。
「大丈夫や。ちゃんと準備してきたんやから」
「……はい」
「ま、とりあえずはうちの素晴らしい応援演説を有り難く聞いとき」
桃先輩は力強くそう言って、堂々と舞台中央へ進み出た。



