うちの生徒会長は今日も読めない






「お姉、ちょっといいかな」



わたしとお姉は、世間一般の姉妹平均より仲が良いと思う。

だけど、わたしがお姉の部屋を訪ねることは滅多にない。

SNSに載せる写真の撮影や配信にも使っている部屋は、キラキラしていて気後れするから。

だから扉をノックするのにも何だか妙に勇気が必要だった。




「あれ。どうしたの路留ちゃん」


「あの……そ、相談したいことがあって……!」




演技経験があり、舞台のような大勢の前に立つことにも慣れている人。

そして、お願いすればその技術を伝授してくれそうな人。

うってつけの人が、同じ屋根の下にいる。




「路留ちゃんがそんなこと言うの珍しいね。こっち座りなよ」




お姉はそう言って、わたしの質素な部屋からは絶対に出てこないパステルカラーの丸いクッションを渡してくれた。

わたしたちは小さな白いテーブルをはさんで向かい合う。

向かい合ったまま、わたしはなかなか切り出せずに黙り込んでいた。