やがて桃先輩は、ゆっくりわたしと向き合って、右手をまっすぐ伸ばした。
「わかった。引き受けたる。……やるからには絶対に勝つからな」
「……! は、はい!」
裏返った声で返事をしながら、わたしは慌てて桃先輩の手を握り返す。
すると桃先輩は、何故かそのまま後ろを振り返って言った。
「と、いうわけやであんたらとは今日からライバルやでよろしく。さっきからそこで盗み聞きしてる木坂くん」
「え?」
いきなり出てきた別の先輩の名前に、わたしは戸惑いながら桃先輩の視線の先を見る。
すると、ちょうど死角になっていたところに人影があった。
「ごめんごめん。盗み聞きするつもりはなかったんだけど、二人の姿が見えたから気になって」
「き、木坂先輩……」
つまりあれだ、全部聞かれていた。
後々どうせバレることだから聞かれ困るわけではないけれど、何となく気恥ずかしくなって下を向く。
木坂先輩はそんな様子を気にすることなくわたしたちの方に近づいてくる。



