「自分が経営する高校の生徒会長でもある義理の息子にそんなもん彫ってあるって気付いたら気絶すんぞ~」
「だな。せっかくだしもうちょい際どいところにもう一つ彫ってみっかな」
「何が『せっかくだし』だよ。やめとけやめとけ」
「チッ」
──話を聞いているうちに色々とわかってきた。
会長の義理の父親だった男性、アキラさん。29歳。この街の飲食店をいくつか経営しているらしい。
そして、彼が会長のお母さんと夫婦だったのは今から7年ほど前の話。
当時は三人でここ杏神街の片隅にあるアパートで暮らしていたそう。
年齢がたった一回りしか違わない義理の親子は、どちらかといえば歳の離れた兄弟のような関係性だったようで。
会長とアキラさんは、家族関係が解消された今も一、二ヶ月に一度はこうして会っているらしい。
つまり。わたしにとっては治安が悪くて足を踏み入れるのには抵抗のあるこの街だけど、会長にとっては子ども時代の二年間を過ごした馴染み深い場所。



