……あれ、でも待てよ。
会長のお父さんって確か、我らが学舎朱月高校の理事長という話ではなかっただろうか。
大きなイベント事のときに全校生徒の前で挨拶をする理事長は、厳格な雰囲気をまとった初老の男性。
こんな治安の悪い繁華街の片隅にいる入墨だらけの若い男性とは似ても似つかない。
大混乱に陥るわたしをよそに、紙コップにペットボトルのミルクティーをそそいでくれていた男性は声を出して笑う。
「おいおい、おとーさんはキモいからやめろよ。はい、ミチルちゃん。……あ、今更だけどレモンティーのが良かった?」
「い、いえ。ミルクティー好きです。ありがとうございます」
「アキラ、オレ甘くないのが良いんだけど。無糖のミルクカフェオレねーの?」
「お前本当それ好きだよな。でも切らしてるから文句言うな」
アキラ、というのがこの男性の名前らしい 。
アキラさんは自らの分のミルクティーも注いで一口飲むと、会長の隣に座った。



