わたしは深々と頭を下げて踵を返した。
会長がどうしてここにいるのかの謎はわからずじまいだったけれど仕方ない。
「待て」
会長は、トボトボと歩き始めたわたしの前に回り込んで行く手を阻んだ。
「せっかくだから、ちょっと付き合え」
「……え?」
にやりと笑みを浮かべてそう言い、路地のさらに奥へと向かって歩き出す。
えっと。
まさか、このまま怪しげな人たちのところに連れていかれて、その人たちに怪しい薬を勧められる……なんて展開……ない、よね……?
内心ヒヤヒヤしながらも、わたしは意を決して会長についていく。
目的地は、さらに一本分かれ道に入ったその先にある古めの雑居ビルだった。
会長はやはり迷いなくビルの階段を上り、3階のフロアに入った。
「よう、来たぞ」
重々しい扉を開けるなり、そんな気楽な調子で部屋の中に向かって言った。
わたしは後ろから、そっと部屋の中の様子をうかがう。



