うちの生徒会長は今日も読めない






わたしの住む町から何駅か離れたところに、"杏神街(きょうかがい)"という少しばかり治安の悪い場所がある。

……と言っても、まあ探せばどこにでもあるような歓楽街だ。昼間に複数人で大通りを歩く分には、さしたる危険もない。

だけど、小学生の頃から「信頼できる大人と一緒にじゃないときは絶対に行かないように」と口を酸っぱくして言われ続けてきたので、今でも怖い場所というイメージが強い。



そんな場所に、わたしは新年早々足を踏み入れていた。

それも、自分の彼氏を尾行するという形で。



──どうしてそんな奇妙なシチュエーションになったのかといえば、話は朝へと遡る。

年が新しくなり、わたしを含め全国の学生たちはまだ冬休みまっただ中。コタツでみかんでも食べながらダラダラすることが許される期間。


とはいえ、中には例外もいる。

わたしの姉もその一人だ。

開催を間近に控えたファッションショーがあるとかで、連日リハーサルに出かけている。