だけどそのせいで、どうも足元を疎かにしていたようだ。
人混みの中、誰かとぶつかってよろめいた。
「っと、危ねー」
「あ、ありがとうございます、すみません……」
会長は転びそうになったわたしの手を引っ張り上げて、そのままわたしの手ごと自分のコートのポケットに入れた。
「か、会長?」
「こうした方が温かいだろ」
「そうですけどっ……」
「こういうベタなことしとかねーと、お前は一生オレの彼女だって自覚が芽生えなさそうだからな」
「なっ、それは、その……」
確かに。
正直言って、付き合うって何かしら……状態ですからね。
クリスマスシーズンにイルミネーション見て手を繋ぐというベッタベタなやつはわかりやすくて良い。
「じゃ、ついでにもう一個ベタなことしとくか」
光のトンネルのようになっているイルミネーションの道を進み、その先の広場に鎮座する大きなクリスマスツリー。
その前まで来て、会長は手を入れているのと反対側のポケットから何かを取り出した。



