頭は切れるし、穏やかだし、腹はちょいと黒いような気がしないでもないけど、まあ優しいし。あと東間敬人と違って入墨なんてないし。
この人の方が、よっぽど生徒会長らしいのに。
「僕は別に生徒会自体に興味があるわけじゃない。敬人といれば面白い景色が見られるからついて行ってるだけ」
「……?」
「じゃあさ、作業しながらちょっとだけ雑談に付き合ってもらってもいい?」
もちろん、と答えると、木坂先輩はいつも通りの穏やかな声で語り出した。
それは、医者の両親の間に生まれた木坂先輩には二人の兄がいるという話から始まった。
木坂家長男は両親の期待を一身に背負い、厳しく厳しく育てられてきた。事実長男はものすごく優秀で、今では立派に医者として働いている。両親にとっても自慢の子だ。
だけど、次男は違った。
何かにつけ優秀な長男と比較された次男は、そのプレッシャーとストレスから道を踏み外した。
高校生頃に悪い仲間とつるむようになり、家とはほぼ絶縁状態。



