だけど、わたしがそう言ったところで、彼女は聞き入れやしないだろう。
そう思うと言葉が出てこなかった。
「……ま、そんなお気持ち表明してみたところで、うちのやったことが許されることではないってわかってる。怖くて名乗り出ることもできんかった」
桃先輩はまっすぐと背筋を伸ばして立ち上がった。
そして、わたしに深く頭を下げる。
「ごめんなさい」
「そんな、頭上げてください桃先輩」
真剣そのものの声に、わたしはむしろ驚いて言う。
だけど桃先輩はそのまま動こうとしない。
「許してくれとは言わん。一生恨まれて当然や」
「いや、でもほら、わたしもうピンピンしてますし」
「でも打ち所が悪かったらどうなってたかわからん」
「それは……」
確かにそうなのかもしれない。
たまたま腕の骨折という形になったけど、これでもし頭を強打したりしていたら……。
……うん、やっぱり許したらダメな気がしてきた。
そうだ、許す必要はないんだ。わたしにはその権利がある。



