桃先輩は渋い顔をしながらも、ちゃんと場所を移動してくれた。
もっとも、特別棟ではなく中庭の片隅のベンチへだったけれど。ここも肌寒い今の時期は人が少ない。
「……で。うちに書記に戻れって話やった? 断る」
ドカッと勢いよくベンチに座った桃先輩は、途中で買った温かいペットボトル飲料で暖をとりながら、開口一番に言った。
「な、何でですか」
「何でって……。そもそも敬人が許すわけないやん」
「会長はわたしに一任するって言いました。そして桃先輩を選んではダメだとは言われてません」
「言われてなくても選ばんやろ普通……」
桃先輩は呆れ顔で言って、大きくため息をついた。
「ま、敬人が許す許さん抜きにしても、うちは戻る気ない。もう生徒会にいる意味もなくなってしまったし」
「意味?」
「気付いとるやろうけど、うち敬人のことが好きやねん」
気付いてなかった。



