軽く舌打ちをして、受け止めたティアラを制服のポケットに押し込む。
本来なら、このティアラは路留が付けるはずだった。
そう思うとまた無駄に苛立ちそうになるので、もうあまり深く考えないようにした。
「つーかミチルのやつ、やっぱ嘘ついてたんだな。ったく、何で自分に怪我させた奴のこと庇うんだ?」
一昨日路留の見舞いに行ったとき、誰かに突き落とされたんじゃないのか、と聞いた。あの時点で、敬人は桃が犯人であることを既に確信していた。
しかし路留は、『勝手に足を滑らせただけ』と言い、隠そうとしていた。
「……会いてーな」
ぽつりと呟いた声は、桃が去ったことで再び静かになった特別教室棟に響くことなく消える。
敬人は軽く頭を掻き、向坂に見咎められる前に、盛り上がる校内の見回りに戻ることにした。



