あの時間この場所は人通りが少なく、残念ながら路留が階段から落ちた瞬間を目撃したという人は見つからなかった。
だが、職員室ではなかなか興味深い証言を聞くことはできた。
「あの日、職員室に非通知で電話があったそうだ。電話の主は自分はここの生徒だと言った上で、『階段から落ちて気を失っている生徒がいるから助けて』って焦った様子で言っていたらしい」
その通報を受けた教師がその場に行ってみると、確かに階段の踊り場で倒れている女子生徒、原路留の姿があった。
その教師はその後慌てて救急車を呼び、路留は無事に病院へ搬送されたのだった。
「でも不自然だよな。ここから職員室まで多少離れているといっても、走れば2分もかからずたどり着ける。直接行って状況を説明した方が手っ取り早く緊急事態だって伝わるだろうしな。電話を選ぶ意味がわからない」
「……その電話した人は足が遅いから、そっちの方が早いと思ったんとちゃう?」



