じわりじわりと目を見開く桃に、胸のあたりがスッと冷たくなっていくのがわかった。
姫城桃という女のことは、小学生の頃から知っている。
当時からずっと美少女だ何だと騒がれていたし、実際敬人もそれについて異論はない。
だが……。
「いきなりどうしたん? 嫌やなあ、何でうちがそんなこと……あの子が一人で足滑らせただけやろ?」
顔立ちなんて関係ない。取り繕ったような笑みを浮かべる今の桃は、驚くほどに醜く見える。
残念だが、自分のお気に入りをを傷つける人間なんて、敬人にとってごみ屑以下でしかない。
「何の理由もなく言ってるわけじゃねーよ」
あの日何があったのか。
それを知るため、色々と聞いて回った。
もちろん、本当にただ路留が足を滑らせただけという可能性もあった。
それでも、シンデレラの衣装を試着した路留を見たときの桃の愕然とした表情はずっと引っかかっていたし、少し胸騒ぎがしていた。



