「で、結局何? うちのシンデレラ褒めるためにわざわざ呼び出したん? 嬉しいけどそれならもう持ち場に戻るで」
「まあまあ、そう焦んなって。ずっと働き詰めなんだから多少サボったってバチは当たんねーよ」
敬人はひんやりとした壁にもたれかかりながら、わざと桃から視線を離す。
希望通り本題に入ってやろうと短く息をついた。
「なあ桃。二週間ぐらい前、ここで何があったか知ってるか?」
「何がって……ああ、もしかしてあれか? あの子が落ちて怪我したのが確かこの階段やんな。そのこと?」
桃は少し間を開けてから、一語一語伺うように言う。
「骨折れてるって結構な大怪我やんな。命に別条なくて良かったわ」
「そうだな」
答えながら、敬人はまたゆっくりと桃の顔に視線を移動させる。
それからゆっくりと目の前まで歩み寄り、そっと彼女の顎に触れて顔を上げた。
「ミチルのこと突き落としたの、お前だろ」



