「シンデレラ役は桃がやるんだとよ。義姉役はいなくてもナレーションで誤魔化せるように向坂が台本書き換えてた」
「そうですか。良かった……」
「……」
ほっと胸を撫で下ろすわたしに、会長は何か言いたげな視線を送る。
「どうしました?」
「……ん、まあいいや。じゃ、オレも帰るわ。ケーキごちそうさま」
会長はそう言ってわたしに背を向け、ひらひらと手を振りながら駅の方向へと歩いていった。
……そういえば会長に出してたあのケーキ、多分本来はわたしの分だったんだろうな。
ちょっぴり悔しい気持ちになりながら、あの路留に彼氏ができたという話題で盛り上がり続けているリビングに戻るのだった。



