夜を照らすmagic

ノルがエリーさんに手を引かれる。エリーさんが楽しそうにある一点を指差した。食堂の前にはメニュー表と、前世のデパートでよく見かけた食品サンプルらしき料理が並んでいる。

「先生!このスイーツ、とってもおいしそうです!」

「どれどれ?「天使の羽パフェ」……。確かにおいしそうだね!」

そのメニューを聞いた刹那、僕の頭に前世がふと蘇る。前世の僕もエリーさんのような反応をした。ノルの目も見開かれる。

『これってオリジナルスイーツだよね?すごくおいしそう』

僕は一体誰にこの言葉を言ったんだろう?思い出せない……。でも、この物語を僕はやっぱり知っている。

「ノル、何か思い出した?」

僕の問いかけにノルも「うん。僕は……いや、僕たちはこの物語をやっぱり知ってる」と大きく頷いた。どこで、誰が、この物語を?その時だった。

『どうせ、私の物語なんて……』

悲しい声がここに響いた。僕たちは全員辺りを見回す。誰もいない。一体誰の声?その時だった。