夜を照らすmagic

(思い出せたらいいけど)

淡い期待を抱きつつ、僕たちは教室の外へと出た。



教室を出て廊下を歩く。「薬学室」や「魔法研究室」など、僕が通っていた学校でも見たことのない部屋が並んでいる。知らない部屋だ。なのにーーー。

(どうして、どこか「懐かしい」って気持ちになるんだろう)

僕が辺りを見ていると、メルが隣に並ぶ。そして「ねぇ」と話しかけてきた。心臓がトクンと跳ねる。

「この物語は、ノワールが書いたわけじゃないんだよね。じゃあ、前世で読んだことのある本とかかな」

「前世で読んだ本で、こんな内容のあったかな。そこが思い出せなくて……。そもそも、オズワルドさんが日本へ行って本を持って来られるとは思えないし……」

僕は前を見つめる。ノルたちが前方で辺りを見回しながら話をしていた。別の世界の自分をこうして間近で見ているなんて、変な気分だ。

「どうしてパラレルワールドの人間とこうして話せているのか、そこもわからないし」

「奇妙なことだらけだよね」