「でもここに物の怪はいないよ。オズワルドさんが僕たちに復讐をしたいなら、すでに物の怪に囲まれてるはず」

「物の怪の気配を全く感じない。警戒するに越したことはないけど、オズワルドさんを犯人にするには証拠がないよ」

メルとメルキュールが言い、カイルは渋々と言った様子で口を閉じる。さて、これからどうするか。僕とノルは同時に立ち上がった。顔を見合わせる。こういうところは一緒みたいだ。

「とりあえず、この教室を出て周りを探索してみよう」

「ここがどんな物語の世界なのかも調べなくちゃね」

僕とノルがそう言った時だった。教室のドアが開く。僕たちは素早くドアの方を見た。見慣れない制服を着た男子生徒三人が話しながら教室に入って来る。

「今日、魔法演習の実技テストじゃん！」

「俺、合格もらえるかな。練習したけど心配だわ」

「カフカ先生厳しいんだよな〜」

男子たちは僕たちには目もくれず、自分の席に鞄を置くと話の続きをする。どうやら僕たちの姿は彼らに見えていないみたいだ。