僕たちの言葉に、警戒し合っていた二人のメルが「確かに、僕たちは物の怪じゃない」と能力を使って確かめた。メルの力なら、この場にいる物の怪の数がわかる。どうやらこの世界に物の怪はいないみたいだ。

メルの一言で、少し警戒をみんな解いてくれたみたいだ。向かい合って座り、とりあえず状況を把握するために僕たちは互いの過去を話すことにした。話を互いにした後、僕ともう一人の僕は一つの結論に至った。

「もしかして僕たち……」

「うん。パラレルワールドから来たんだろうね」

僕の世界ともう一人の僕の世界では、同じ人がいて同じ事件が起きた。僕とメルの前世も同じ。でも、出会ってきた物の怪や戦い方が違う。となると、パラレルワールドから来たということ以外あり得ない。

「先生。パラレルワールドって何ですか?」

エリカさんが訊ねる。カズとリオンも首を傾げている。僕ともう一人の僕が説明すると、カズが「すげぇな」と目を見開く。リオンは苦笑していた。