「これは一体どういうこと?」

「僕もわからない。昨日は執筆を早々に終えて寝たんだけどね」

もう一人の僕が困ったように言う。僕も昨日は家のベッドに入り、寝ていたはずだ。どうしてこんな奇妙なことになっているんだろう……。

「んんっ……」

「ノワール……?」

僕ともう一人の僕がどうすべきか考えていると、意識を失っていたリオンたちの体が動き、目をゆっくりと開けた。刹那ーーー。

「お前ら!!俺らの偽物だろ!!」

カズが叫び、ゾンビを召喚する。もう一人のカズも「お前らの方が偽物だろ!!」と言い、ゾンビを召喚した。いつ乱闘が起きてもおかしくない。リオンたちも互いに警戒し合っている。

「待って!!」

僕ともう一人の僕は声を上げた。リオンたちが一斉に僕を見た。僕ともう一人の僕は一瞬顔を見合わせた後、口を開く。

「とりあえず落ち着いて話そう」

「僕たちが今どこにいるのかはわからない。でも、目の前にいるもう一人は物の怪じゃないよ」