夜を照らすmagic

僕とノルは頷き、地面を蹴る。多々良先輩の前に素早く移動した。リオンたちが目を見開いている。僕たちは防御魔法を使った。

「何で止めるんだよ！そいつは物の怪みたいなもんだろ！」

カイルが不満の声を上げる。僕は声を上げた。

「とりあえず僕たちの話を聞いてほしい。この人は多々良雫さん。僕たちが転生するまで生きていた世界の人だ」

「ノワール、ノル、その人を知ってるの？」

メルとメルキュールが目を見開いて訊ねる。僕たちが説明しようと口を開いた時だった。多々良先輩がいる地面が黒く染まる。そして、多々良先輩が地面に引き摺り込まれた。

「先輩！！」

僕とノルが叫んだ時には、もう多々良先輩は地面に呑まれていた。そして、ドス黒い地面からゆっくりと何かが姿を見せる。真っ黒な衣服、真っ黒なペストマスクを被った人物だ。

「あの人をどこへやったんだ？」

リオの問いに対し、ペストマスクの人物はため息を吐く。

「あれには失望したよ。お前たちを一網打尽にできると思ったのに……」