見たことのない女の子が一人、楽しそうに読書をしていた。その本は僕も気になっていた本だったから、つい「そんなに面白いのか」と見てしまう。視線に気付いたのか、女の子が僕の方を見た。
『君も読書が好きなの?』
それが、多々良雫(たたらしずく)先輩との出会いだった。
多々良先輩は三年生で、訳あって保健室登校をしていると話してくれた。教室には行けないが、図書室には来れるらしい。
『私のことは誰にも言わないで』
そう頼まれたから、僕は零にさえ多々良先輩のことは話さなかった。多々良先輩と本の話を時々こっそり会って話す時間は、零と過ごす時間とはまた違った楽しみがあって、僕はその時間も好きだった。
『私ね、いつか小説家になりたいなって思ってるの。……こんな小説を書いてみたんだけど、よかったら読んでみてくれない?』
ある日、多々良先輩に一冊のノートを渡された。タイトルは「リリー・ウィッチ」。魔法学園を舞台に様々な事件が起こり、それを一人の魔女が解決していくというものである。
『君も読書が好きなの?』
それが、多々良雫(たたらしずく)先輩との出会いだった。
多々良先輩は三年生で、訳あって保健室登校をしていると話してくれた。教室には行けないが、図書室には来れるらしい。
『私のことは誰にも言わないで』
そう頼まれたから、僕は零にさえ多々良先輩のことは話さなかった。多々良先輩と本の話を時々こっそり会って話す時間は、零と過ごす時間とはまた違った楽しみがあって、僕はその時間も好きだった。
『私ね、いつか小説家になりたいなって思ってるの。……こんな小説を書いてみたんだけど、よかったら読んでみてくれない?』
ある日、多々良先輩に一冊のノートを渡された。タイトルは「リリー・ウィッチ」。魔法学園を舞台に様々な事件が起こり、それを一人の魔女が解決していくというものである。

