夜を照らすmagic

メルとメルキュールが叫ぶ。刹那、舞台や座席が氷に覆われた。驚いた僕は女性の方を見る。女性の体から冷たい空気が流れている。それを理解した刹那、女性の体から雪を含んだ冷たい風が吹き上がる。

「ッ!」

僕とノルは防御魔法を使う。だけど、女性から受けた攻撃を捌ききれなかった。風に吹き飛ばされ、壁に僕とノルは頭を打ち付けた。

「うっ……」

意識が沈んでいく。その時、頭の中で声が響いた。

『……私、小説家になりたいの』

……そうだ。思い出した。



これは、僕の前世ーーー太宰修也だった頃の話だ。あれは確か、中学二年生の頃だったと思う。

(暇だな〜。零は今日は学校休んでるし、本はもう読み終わっちゃったし)

教室の隅で僕はぼんやりと空を眺めていた。僕には、零以外友達はいない。そう思ってた。……今日までは。

騒がしい教室にいたくない+新しい本を見るために僕は図書室へと向かった。図書室のスライドドアを開ける。昼休みの図書室にはいつも誰もいない。でも、その日は違った。