【完】ぜんぶ、ちょうだい。




昨日からずっと、スマホが手放せない。

用もないのにラインのトーク画面を開いては、すぐ閉じて、また開いて。
それを何度も、何度も繰り返している。


――あー……どうしよう。


特別な通知が来るわけでもない。

名前の横に表示されているのは、初期設定のままのアイコン。
ただそれだけなのに、画面を見るたびに口元がゆるんでしまう。


自分でも分かる。
これ、完全にニヤニヤしてる。
というか、抑えきれてない。



「こまちゃん、さっきからずっとニヤニヤしてて変な人みたいだよ」



清水の席に座っているひまちゃんが、呆れたように私を見る。

その声で、はっと我に返った。



「だって~……幸せなんだも~ん」



自分でも驚くくらい、声がふにゃっとしていた。
否定なんて、できなかった。

ひまちゃんは小さくため息をついて、それから少しだけ優しく笑う。



「でも、よかったね。祝ってもらえて」

「おかげさまで、最高の誕生日でした」