ぜんぶ、ちょうだい。




私と泉先輩の噂は、ほんと、びっくりするくらい一瞬で広まった。



「泉先輩が、ぽっと出の女にとって食われたらしいよ」

「かおが弱み握られてるんだって」



…だとか。

さすがに酷いのでは?どれもこれも違うし、極めつけは、



「泉薫、女のセンスないよね」



……ちょっと待った。

それ言ったの誰!?


私のことをどう言われても、まあ、うん、仕方ない。


でも、泉先輩のことまで一緒にディスるのは話が別だ。


泉先輩は、ちゃんと素敵だし。センスないとか、意味わかんないし。



「こまちゃん、朝からすごい噂になってるけど、昨日どうなったか教えてくれない~?」



朝からイチゴオレ片手ににんまりして登場のひまちゃん。



「いや~、昨日はね……」



昨日は、全部が一気に起こりすぎて、頭が追いつかなかったし、テントに戻ってからも、完全にフリーズ状態。


清水に「邪魔だから裏行って」と言われたくらいに、魂が抜けてて、ひまちゃんにすら話せなかった。


ひまちゃんは楽しそうに言いながら、清水の席にどっかり座る。


イチゴオレをちゅーっと吸って、身を乗り出してきた。